制御盤のコストダウン
制御盤のコストダウンと言うと、使用している機器の見直し、小型化がまず思いつきます。小型化については「制御盤の小型化」をご覧ください。ここでは他の観点として、機能的な配線を取り上げます。「機能的な配線」(きれいな配線)とは、作業者が自身の思いつきやアイデアで配線を行うのではなく、ルールに従って配線を行うことです。当社では「あとから誰が見ても分かりやすい配線」をポリシーとしております。拡張性やメンテンナスの観点から、「機能的な配線」によってトータルコストが抑えられます。
制御盤製作の中で大きな作業ウェイトを占める「配線作業」
制御盤の設計工程以外の実作業で、最も制御盤製作会社の違いが現れるのが「配線」工程です。設計図にはインプットとアウトプットは表示されていますが、実際にどのように線を取り回すかは、現場の作業員の「勘と経験」に頼るところが大きいためです。作業盤の配線は、のちのちにまで影響を与える重要な工程なのです。
制御盤 機能的な配線のメリット
- トラブル時スピーディな原因発見
- メンテナンス時の作業効率向上
制御盤の小型化を目指して配線を無理やり押し込んだり、短納期を推し進めるあまり、メンテナンス性を無視したレイアウト・配線になることがあります。制御盤は、限られた寸法内でコストを抑えながらも、メンテナンスや改造時の拡張性、再配線作業の無駄をなくすというバランスが重要です。また、ぐちゃぐちゃな配線では、トラブル時に配線図と見比べて原因を追求しようと思っても時間がかかり、大きなタイムロスに繋がる可能性があります。
どちらも弊社が機能拡張またはリニューアルをご依頼いただいたときに遭遇した制御盤です。まずひと目見て線番が分からなければ、構造の理解に非常に時間がかかります。(中には線番がふられていない線もあります。) また、ケーブルがたるんでいるとケーブルの位置が固定されていない状態であり、ノイズの原因にもなります。
こちらは弊社の制御盤配線です。制御盤をメンテナンスしたり拡張したりするのは同じくプロの人ですから、プロが見て分かりやすく扱いやすい必要があります。
制御盤 機能的な配線のアプローチ
POINT 1 見やすく線番を表示
配線図に書いてある番号を、マークチューブに印字します。
・ACとDCで先頭のアルファベットを分ける
・大きく見やすい印字
・6と9、0(ゼロ)とO(オー)、I(アイ)と1(いち)など分かりにくい表記への配慮
・左右の場合は左から読めるように、上下の場合は下から読めるようにチューブの向きを工夫
など
POINT 2 ノイズ対策
主回路と制御回路を機器の配置で分けていても、線の取り回しを考慮しなければ、ノイズの原因となります。交流の大きな電流が流れる電線が近くにあると、誘導電圧が発生することがあり、誤動作の原因となります。
POINT 3 電線の太さ、色
電線が細すぎると熱をもち、太すぎると部品と干渉してしまいます。また、線の色はお客様からのご指定がなければJISまたはIEC要求事項に従います。
給電目的 | 配線色 |
交流電力回路 | 黒(中性線はライトブルー) |
動力回路 | 黒 |
保護接地線 | 緑・黄の組合せ |
交流制御回路 | 赤 |
直流制御回路 | 青 |
主電源断路時の充電部 | — |
インターロック回路 | オレンジ |
制御盤 機能的な配線(きれいな配線)の事例
- 床暖房の制御盤 配線
- 機能的な制御盤の配線
- 部品洗浄機の制御盤 配線